タイトルはちょっと煽ってみました。
皆さん世界遺産はご存知かと思いますが、日本遺産というのもあることをご存知でしょうか?
日本遺産とは文化庁が認定している、
「日本国内の様々な地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化や伝統を語るストーリー」
のように説明されています。“ストーリー”と言われても、分かりにくいですよね。
まあ簡単に言うと、世界遺産の日本版ってところでしょうか?
日本遺産は、元々は世界遺産登録を目指す地域や文化財を対象に、世界遺産への登録に対応するための新制度だったようなので、世界遺産の日本版というような解釈でも間違いないと思います。
日本遺産に認定されると、ガイド育成費用や外国語パンフレット等の作成費用を文化庁が補助してくれます。
日本遺産に鮒寿司が登録された?
2015年から始まったこの日本遺産制度、初年度には18件の日本遺産が認定されました。
この初回の応募には83件申請があったそうで、その中から選ばれたのが18件です。
文化庁は2020年までに100件程度の登録を目指しているそうで、2020年の東京五輪の訪日客増に合わせているのかもしれません。
この初回登録の18件の中の1件に、「琵琶湖とその水辺の景観 ~祈りと暮らしの水遺産~」が登録されました。
琵琶湖とその水辺の景観 ~祈りと暮らしの水遺産~とは?
日本遺産のページには、紹介として、下記のSTORYが掲載されています。
穢れを除き、病を癒すものとして祀られてきた水。
仏教の普及とともに東方にあっては、
瑠璃色に輝く「水の浄土」の教主・薬師如来が広く信仰されてきた。
琵琶湖では、「水の浄土」を臨んで多くの寺社が建立され、
今日も多くの人々を惹きつけている。
また、くらしには、山から水を引いた古式水道や
湧き水を使いながら汚さないルールが伝わっている。
湖辺の集落や湖中の島では、
米と魚を活用した鮒ずしなどの独自の食文化やエリなどの漁法が育まれた。
多くの生き物を育む水郷や水辺の景観は、
芸術や庭園に取り上げられてきたが、
近年では、水と人の営みが調和した文化的景観として、
多くの現代人をひきつけている。
ここには、日本人の高度な「水の文化」の歴史が集積されている。
「鮒ずし」が出てきましたね。
この琵琶湖の日本遺産の構成文化財リストの中には、
- 文化財の名称:琵琶湖の伝統漁法と食文化
- 指定等の状況
-伝統漁法:未指定
-伝統食文化:県選択無形民俗 - 文化財の所在地:大津市・彦根市・近江八幡市・高島市・東近江市・米原市・長浜市
となっています。
恐らく日本遺産指定のフォーマットで説明すると、このような記載になるのでしょう。
鮒寿司の押し出しが弱い?
当記事のタイトルにも世界遺産への鮒寿司登録と書きましたが、日本遺産が世界遺産への登竜門的な立ち位置からも、もしかしたら鮒寿司が世界遺産へ登録され可能性はゼロではありません。
ただ、上述で説明した通り、
- 世界遺産へ登録するための
- 日本遺産における
- 複数構成要素の中の
- 滋賀県の食文化の中の
- ふなずし
という構成なので、鮒寿司単体での世界遺産登録は、限りなく遠いのかもしれません。。。
もうこうなれば、鮒寿司は食の無形文化財登録を目指してしまえば?と思うのですが、こちらはユネスコが認定するもので、2013年に5つ目として和食が登録されて話題になりましたよね。
和食よりも先に登録されていた食の無形文化遺産は、
- フランス料理
- 地中海領地
- メキシコ料理
- トルコ料理
だったので、ここに鮒寿司が並ぼうとするのは無謀かもしれませんね。。
ちなみに食の世界遺産というのもあり、こちらはスローフードインターナショナル(SFI)が運営しており、アルカ(食の箱舟)という称号がもらえます。これなら登録の可能性がありそうですが、SFIっていったいどんな団体なのでしょうか。
滋賀全土にしたらよかったのでは?
この日本遺産に登録されたストーリーの構成要素の一つとして加えられている滋賀の食文化に鮒寿司等が含まれている訳ですが、なのにこの日本遺産認定の対象は、滋賀県の特定のエリアとなっています。
鮒寿司は滋賀県の全ての地域で作られており、琵琶湖から離れた内陸部の方であっても、行商が塩切鮒を売りに歩いたり、琵琶湖から川を遡上して、琵琶湖から離れた川やその川が流れ込む湖沼や田んぼ等でも獲れたニゴロブナを用いていたことからも、本当なら滋賀県全土をこの日本遺産の対象地域としてほしかったと思うのは私だけでしょうか。
恐らく認定の為に様々な調整が自治体間であったことは想像に難くありません。