ふなずしを食べるには

ふなずしを食べるには、主に以下の方法があります。

  • 飲食店で食べる
  • 店舗で購入して食べる
  • 通販で購入して食べる
  • 自家製ふなずしを食べさせてもらう
  • 祭事事等の場で食べさせてもらう
  • 自分で作って食べる

それぞれに難易度やメリットデメリットがあるので、それぞれを順番に解説していきます。

飲食店で食べる

この方法が一番簡単且つ確実かと思います。最近では都内でもふなずしを食べられる店がいくつかあります。

メリット

  • 気軽に店に立ち寄って食べることができる。
    都内では居酒屋等でふなずしをメニューとして扱っているお店もあります。
    有名なところでは、渋谷の居酒屋「近江やWabisuke」。こちらではふなずしとふなじす茶漬けがメニューとしてあるようです。

デメリット

  • 当たりはずれが大きい
    ふなずしには当たりはずれというか、使っている原材料のフナの種類から、どこで漬けているか?その漬けている地域の気候、その年の気候、その製造元の製法、製造元の乳酸菌、本漬けの時に使っているお米の種類等、様々な要因によってふなずしの味や仕上がりは異なります。滋賀県内になる有名店等ではまず間違いないですが、都内の飲食店等で提供されているふなずしの品質それ自体でふなずしを評価してしまうのは危険です。

店舗で購入して食べる

手軽且つはずれにあたらない、という点ではこの方法が一番おすすめかと思われます。事前に下調べをした上で、目的にお店で目的のふなずしを購入する方法です。

メリット

  • 事前の下調べである程度の品質のふなずしに絞ることができる。
    ネットで事前に下調べさえしておけば、ある程度の品質のふなずしに絞り込んで購入することができます。その際に注視したい点は、
    ・原材料のフナの種類は、ニゴロブナか?
    ・製造元は信頼できるところか。
    この2点を確認するだけでも十分です。
  • 店頭でお店の人に色々聞ける。
    ふなずしを、まったくの素人の人が購入するときに陥りがちなのが、少しでも安い物をということで、何も知らずにニゴロブナではなく、ゲンゴロウブナやマブナを原材料としたふなずしを購入してしまうことがあります。もちろんゲンゴロウブナもマブナも、ふなずしとして食されている原材料なので、ふなずしには間違いないのですが、やはり本当においしいふなずしを食べるなら、琵琶湖にしか生息していない固有種ニゴロブナを原材料としたふなずしに限ります。
    たいていは商品の裏のパッケージに原材料として鮒の種類が記載されていますが、たまに「鮒」とだけ記載されている商品もあり、その鮒が、ニゴロブナか否かの判別がつかない場合もあります。そんな時に店頭でなら、お店の人に聞けばニゴロブナなのか、それ以外なのかを教えてくれるはずです。少しでも安く試してみたいならマブナやゲンゴロウブナのふなずしでも全く問題ないですし、本当のふなずしを経験したいならニゴロブナのふなずしにこだわるべきですが、その辺に関しても丁寧に説明してくれるはずです。

デメリット

  • 結局は滋賀にあるお店で買わざるをえない。
    上記のメリットを享受するためには、結局は滋賀でお店を構えている店頭に行くしかありません。都内にもふなずしを販売しているお店は数か所ありますが、そこのお店の方が事細かくふなずしの質問に答えることはほぼ不可能です。
    またある程度の下調べをしてある程度の品質に絞ったふなずしと言うものを売っているお店は、結局は滋賀にしかありません。

通販で購入して食べる

最近はネット通販でふなずしが買えるようになっています。ネット販売に対応していなくても、電話で購入できるお店もあるので、お気に入りのお店のふなずしを手軽に食せるようになりました。

メリット

  • 気軽に注文できる。
    なんといっても、実際に滋賀のお店に行かなくても気軽に注文できることではないでしょうか。わざわざ滋賀まで買いに行ってはずれをひいたとなれば、二度とふなずしを食べてみようとは思わなくなるかもしれませんが、ネット通販なら、気になる複数店のふなずしを同時に注文して食べ比べ等をすることも可能です。

デメリット

  • 結局は食べないと分からない。
    いくらネット通販が気軽になったと言えど、ふなずしの場合は結局は食べるまでその良し悪しはわかりません。通常の食品や製品等は、ある一定の共通した品質が保たれていますが、ふなずしの場合は、製造元によってその味や風味が異なったり、また同じ製造元でも、その年の気候や製造環境等によっても違ってくるので、いくらネットで下調べを下としても、最終的には食べてみるまで分かりません。
    ただ、歴史あるお店や有名店等は、常にある一定の品質のふなずしを作り続けているので、予算に余裕があるのであれば、安いふなずしよりも、有名店の高めのふなずしを購入すればはずれをひくことはまずないと思われます。

自家製ふなずしを食べさせてもらう

この手法は、まあまあ難易度高めの方法です。実際に現在でも滋賀の家庭では、未だに自宅でふなずしを漬けているところはあります。もし知り合いや親戚に滋賀県人がいるのなら、自宅でふなずしを漬けているかを聞いてみればよいかもしれません。もし漬けていたら、食べさせてもらいにお伺いするか、宅急便等で送ってもらうかすればよいかと思います。ふなずしは滋賀県民の日常食であったとともに、おもてなしの料理でもあったので、県外の人が「ふなずしを食べたい」と言えばきっと喜んでたべさせてくれるはずです。

メリット

  • 無料で食べられる
    自宅で漬けているふなずしを食べさせてくださいと頼んで、お金をとろうとする滋賀県人はまずいないと思います。お店で購入すると非常に高価なふなずしを無料で食べさせてもらえるのはかなりのメリットではないでしょうか。

デメリット

  • 自宅でふなずしを漬けている滋賀県人に巡り合えない
    さすがの滋賀でも、地域によっては自宅でふなずしを未だに漬けているか否かは様々です。特に湖南地方は最近京阪神地区のベッドタウンとして人口増加をしている地域なので、昔から滋賀県民という人は少なく、むしろ「ふなずしって何ですか?」な人が多いと思われます。

祭事事等の場で食べさせてもらう

ふなずしはそもそもは神様に備える為の神前食的な側面もありました。そのため、滋賀県の各地では毎年春頃に「すし切り祭り」という、神前にて鮒ずしを切り分ける祭りがあります。その他、祭り以外でも、神社等で一年を通して行われている様々な祭事において、ふなずしはたいていその場に料理として並んで出てきます。

メリット

  • ふなずしの歴史的側面を垣間見ることができる。
    食文化としてのふなずしと、1,000年以上前から食べられてきたというふなずしの歴史的側面という両方を知ることができます。なぜ滋賀のこの地でなれずしとしてふなずしが残り続けてきたのか。これらの経緯を知ると、またふなずしの味わいが深まることかと思われます。
  • 部外者の壁
    祭事事は、その地域の人々によって、その風習に従って行われているものであり、そこに関係のない外部の方が立ち入ることはほぼ不可能です。ただし祭り等の祭事事は観光資源としても重要視されているので、地域によってはふなずしを食べさせてくれるところもあるかもしれません。

自分で漬けて食べる

ふなずしマニアの夢というか、最終到達地点はやはり自分で漬けて食べる、ではないでしょうか。ふなずしにはまると、いずれ必ず自分で漬けたいと思うようになります。定年後のサラリーマンがそば打ちを始めるように、毎年ふなずしを漬けては「今年のふなずしはうまくできたなー」みたな。

メリット

  • 好きなだけ漬けて、好きなだけ食べられる
    普通に購入するとなると非常に値がはるふなずしですが、自分で漬けて作れば、そこまで高くはありません。またその発酵の過程等も非常に興味深い物であり、同じ工程で仕込んだとしても、毎年出来上がるふなずしは様々な違いがでるので、その出来栄えを毎年楽しむこともできます。

デメリット

  • ハードルが相当高い
    ふなずしの事を知らない人が、ネット上の情報だけでふなずしを漬けても、なかなかうまく作ることはできません。まず素材となるニゴロブナをどこから仕入れるのか?もしくは塩切までは業者にお願いして、本漬けからを自分でやるのか?その本漬けはいつやればいいのか?等、ほぼ経験にたよらざるを得ない要素ばかりで、こうやればうまくできるという完全なレシピは存在しません。
    例えば、本漬けを冬にやろうとしても、をれは間違いで、本漬けは夏の土用の時期、例えば梅雨明け時期等、かなり限定した期日となっています。

あくまで私の予測ですが、この究極のスローフードであり、健康食であるふなずしは、近々世界的ブームを巻き起こすのではと思っており、そうなれば自分でふなずしを漬けて食べてみたいという人がたくさん出てくるのではと思っています。