食の絶滅危惧種、または、発酵食品界のカリスマともいわれるふなずしを、鮒鮓界のロバート・パーカーこと、ロバート・Nigo-Low(ニゴロー)が独断と偏見で採点しちゃう鮒ずし食レポ。今回は、大津市の株式会社いのうえの「ふなずしスライス」です。
いのうえの「ふなずしスライス」とは?
株式会社いのうえが企画販売する「ふなずしスライス」。株式会社いのうえはふなずしスライス以外にも、湖魚を用いた食べ物や赤こんにゃく等、滋賀県の名産品を商品開発して販売する大津の会社です。
今回はその株式会社いのうえが製造販売するふなずしです。
- 商品名:ふなずしスライス
- 原材料:ふな、米、食塩、酒
- 内容量:6切れ
- 製造者:湖の香り本舗
- 値段:1,080円(税込)
いのうえのふなずしスライスを買うには?
いのうえのふなずしスライスは、比較的ネット通販等でも見かける商品です。
amazonでは1,290円(税込)で販売されています。その他、1,260円で売られていたり、お店によって価格は微妙に違いがあるようですが、だいたい1300円弱というところでしょうか。
東京の新橋の交通会館2階にある滋賀県のアンテナショップ「ゆめぷらざ滋賀」でもこのいのうえのふなずしスライスは販売されています。
手っ取り早く欲しければ、新橋の滋賀県アンテナショップで購入、ネットで買うなら、アマゾンで購入すればよいと思います。
ふなずしスライスのパッケージ
いのうえのふなずしスライスは、しっかりとデザインされた箱に入っています。
ふなずしの販売形態において、このタイプはなかなか珍しいのではないでしょうか。こちらのふなずしの製造者は株式会社いのうえではなく「湖の香り本舗」となっています。つまり株式会社いのうえが商品開発をして、実際のふなずしの製造自体は「湖の香り本舗」が請け負っているのかと思われます。
株式会社いのうえがこのような滋賀の特産品を企画販売する会社ということからも、このような商品性の高いパッケージとなっているのかと思われます。
ふなずしスライスを開けてみる
では箱からふなずしスライスを取り出してみましょう。
プラスチックのトレーにふなずしの切り身が7切れ、真空パックされています。外装の箱には、「内容量:切り身6切れ」と書いていましたが、この写真の通り、実際には7切れ入っています。
以前当サイトでも紹介した、「あゆの店きむら」のふなずし同様、鮒ずしの切り身が透明のビニールの上に並べられており、そのビニールの下には飯(いい)が敷き詰められています。
いのうえのふなずしスライスを食べてみる
ではいのうえのふなずしスライスを食べてみましょう。
先ほども述べたように、内容量は6切れと記載されていますが、実際には7切れ入っています。
しかし、一切れは鮒の身というよりは、エラの部分のような硬い箇所でした。なので、これを一切れとはカウントしていないのかもしれません。
卵が詰まった切り身は4枚、その他3枚は卵がつまっていない身です。
上記の写真でも確認できるように、卵の詰まった切り身4枚の内、2枚は全面に卵はつまっておらず、飯(いい)がつまっています。
卵の詰まった切り身は3mm程度の厚さである一方、卵の詰まっていない身の方は8mmほどの厚みがあります。やはり卵の部分は貴重なのですね。
飯(いい)は、しっかり発酵していますが、米粒がいくつか原型をとどめており、完全なペースト状にまではなっていません。
ふなずしスライスの臭いや味は?
臭いはこれまで食べてきたふなずしと比較すると、若干淡水魚というか、鮒特有の臭みを感じますが、特別に臭いというわけではありません。
卵の部分は若干パサついていますが、とてもおいしくいただけます。
身の部分は若干硬めですが、20回ほど噛めば口の中に甘味が広がりふなずしの香りや旨みをたのしめます。
原材料に「ふな」としか書いていないので、もしかしたらこれはニゴロブナではなく、ゲンゴロウブナやマブナを用いているのかもしれません。そのため若干噛みごたえを感じたのかもです。通常ふなずしと言えば、琵琶湖の固有種「ニゴロブナ」を用いますが、近年の乱獲や琵琶湖の水質悪化等により、漁獲高が激減していることもあり、ふなずしが高価な嗜好品となったのも、ニゴロブナ不足が原因と言われています。
ただ、ニゴロブナで作るふなずしだけが、本当のふなずしか?というとそういう訳ではなく、滋賀では昔から琵琶湖や琵琶湖に流れ込む河川等に生息する様々な淡水魚でナレズシを作ってきました。
なので、もし仮にこの鮒がニゴロブナではなかったとしても、様々な種類の鮒を味わうという意味では非常にありがたい商品です。
どのような食べ方がおすすめ?
このふなずしを食べたところ、飯に若干特有の香りがあったので、これに醤油を少し垂らすだけで、味に深みが出て非常においしくなりました。
また、一切れ食べてみて、身の部分を硬いと感じたなら、お茶漬けやお吸い物にして食べるとぴったりかもしれません。
ふなずしを食べたことが無い人が、はじめてこのふなずしを食べたら、若干硬いと感じるかもしれません。上述の7切れ目のエラ?の部分の切り身は、舌触りとしては魚の身というよりは別の物の硬さを感じるのですが、ただ、しっかり噛んでいけば旨みが染み出てくるので、残さず全て食べることができると思います。
スルメも非常に硬いですが、噛めば噛むほどに柔らかくなって旨みや甘味が染み出てきますが、まさにあれと近い感じです。