2017年12月13日に厚生労働省が発表した「平成27年都道府県別生命表」で滋賀県の男性の平均寿命が81.78歳で全国1位になりました。
ちなみに滋賀県の女性は87.57歳で全国4位。
長寿と言えば長野のイメージだったのですが、滋賀が1位になったことでかなり話題になりました。
この厚生労働省の発表は、5年に1回行われる国勢調査を元にしたものなので、今回の長寿ランキングも5年ぶりの発表になります。
鮒寿司が様々なメディアに登場
この厚生労働省の5年ぶりの発表を受けて、長寿とふなずしの関連性として年末年始で鮒寿司がメディアに何度か登場するようになります。
TBSのビビットで2017年12月14日に放送される
TBSの情報番組ビビットの「ちょい足しビビット」のコーナーで、滋賀県男性寿命日本一が取り上げられます。
内容は滋賀で長寿日本一の理由を探るためのインタビューを行い、その中でもちろん鮒寿司も紹介されました。
滋賀県が男性長寿日本一のプレスリリース
12月15日には滋賀県がプレスリリースを発表します。
厚生省の調べでは滋賀県の男性の脳血管疾患による死亡率の低さが全国1位、がんによる死亡率の低さが全国2位となっており、これらに関連しそうな要素としては、喫煙率の低さや食塩摂取量の低さなどが考えられるが、鮒寿司等の食文化等にも触れられています。
このプレスリリースで滋賀県知事の三日月大造氏は、長寿一位となった理由として以下の6点あげています。
- 滋賀県民自身の努力
- 滋賀県の健康推進委員の地域における活動
- 滋賀県民の活発な地域活動
- 鮒寿司等を代表する発酵食文化
- 琵琶湖等の豊かな自然環境で送るライフスタイル
- 過去から紡がれてきた県の歴史や文化
この知事のコメントに合わせて、プレスリリース上で滋賀大学名誉教授堀越昌子氏は、湖魚を使った鮒寿司を代表とする発酵食品文化は、良質な乳酸菌を効率よく大量に摂取でき、コアユ等の小魚も丸ごと食べるので骨も強くなる。これに近江米等も加わり、
「米/魚/豆/野菜/発酵食」という食のバランスが県民の食生活基盤となっている点も大きい
とのコメントを寄せています。
ネットメディア「ホウドウキョク」で紹介
その後、年をまたいだ2018年1月16日にフジテレビが運営するネットメディアのホウドウキョクが「滋賀県が平均寿命1位になった理由。筋トレ、牛肉、鮒寿司、YouTube」という釣りタイトルのような記事を掲載します。
この釣りタイトル記事がネットで若干バズって、鮒寿司が再度再度注目を集めます。
ホウドウキョクの記事内容は、滋賀県の男性の寿命が全国一位になった因果関係を、その他の滋賀の1位に絡めて取材をした半ばこじつけのような構成となっています。
- 図書館で借りる本の貸し出し数が、全国で東京に次いで2位。
お年寄りでも視力が良くて、裸眼で新聞等も文字をたくさん読む。 - 飼養農家1戸あたりの肉用牛頭数が全国一位
近江牛をたくさんたべられる環境があり、栄養価が高い食事をとっている。 - スポーツの年間行動率が全国4位
高齢者でもスポーツジムに通ったり、卓球クラブに入ったりして健康促進となっている。 - スマホの普及台数が全国一位
高齢者でもスマホを使いこなして、YouTube等を見ている。
これらの1位や上位ランキングの傾向を纏めて、個別に取材した物を、「滋賀県が平均寿命1位になった理由。筋トレ、牛肉、鮒寿司、YouTube」
という釣り記事タイトルでまとめて、ネット上に掲載します。
2月2日に日テレのスッキリで放送
2月に入って、日テレの情報番組スッキリが滋賀県の長寿の理由3つを取材した内容を放送します。その3つの内容とは、
- 健康推進委員というボランティアが3600人。滋賀のボランティア率も全国一位。
- 近江商人気質の3方良しの精神。ストレスが少ない。
- 鮒寿司等の発酵食品文化
という構成の作りとなっています。VTRには滋賀県知事の三日月大造氏も登場して、鮒寿司のおいしい食べ方として、鮒寿司のお茶漬けを紹介。
鮒寿司以外にも、あゆ/コイ/ウグイ等の様々ななれずしがあること等も紹介します。
滋賀県民は、関西にもかかわらず納豆も大好き。
その他にも、スーパーでは1日に必要とされる野菜摂取量を計測する取り組み等も紹介されます。
結局鮒寿司は長寿と関係があるのか?
このように5年ぶりに発表された長寿ランキングで滋賀県が初めて1位になったことをきっかけに、メディアの取材等も集まり、鮒寿司が改めて注目されるようになりました。
いずれの番組等でも滋賀のライフスタイルが紹介されるその中の中心的存在として鮒寿司が紹介されていました。
では、実際に鮒寿司と長寿の因果関係はあるのでしょうか?
鮒寿司と長寿の関係性を科学的に結びつけて実証することは難しいですが、健康に影響を及ぼす栄養価という側面では説明することができると思います。
乳酸菌の効果によるもの
乳酸菌自体が整腸作用を高めることは実証済みで、腸は健康を保つ上でも重要な臓器です。
カルシウムが豊富
カルシウムの多さは、他の魚のコイや鮎、鯛、鰹等と比較しても高く、100グラムあたり140mgものカルシウムを含んでいます。
発酵が栄養価を高める
発酵食品は、発効前の状態よりも栄養価が高くなる傾向があります。
例えばたんぱく質は、発酵前の生鮒が100グラム当たり18グラムなのに対して、塩切と本漬けを終えた鮒寿司は25グラムに増えます。
またカルシウムは発酵前後で10倍にもなります。これは発酵により鮒の骨や頭等、全てをたべることができるからです。
鮒寿司のカルシウムは乳酸カルシウム
さらにこの鮒寿司のカルシウムは発酵により乳酸カルシウムとなり、乳酸カルシウムは通常のカルシウムよりも小腸で吸収されやすいという特性があります。
滋賀の食卓には沢山の湖魚と、おばあさんの鮒寿司
確かに滋賀県の食卓には、私が小さい頃から湖魚を用いた料理等が出る事が多くありました。その代表的な物は鮒寿司ですが、それ以外にも、鮎、鯉の洗い、ウロリ、モロコ、エビ豆等。
また鮒寿司を食べたら風邪をひかないし健康にも良いよ、とおばあさんがいつも言ってくれていました。
そしてそのおばあさんが毎年漬けてくれる鮒寿司を毎年食べていたのです。
今回は5年ぶりに発表された県別長寿ランキングで、滋賀県の男性の平均寿命が初めて1位になったことにより、鮒寿司が注目を集める結果となりました。
半ばこじつけのような感を抱く人もいるかもしれませんが、鮒寿司自体の特性を理解すると、やはりその鮒寿司が持つポテンシャルの高さを、健康という側面においても改めて感じることができました。
ふなずしが1000年以上の歴史を持ち、未だに滋賀県内で食されているのはまさにこのような理由によるものも大きいのではないでしょうか。