クックパッドは皆さんご存知ですよね。クックパッドにふなずしのレシピが投稿されていることはご存知ですか?
一体誰が?と思うかもしれませんが、投稿者は「滋賀県」です。
2016年3月に滋賀県がクックパッドに近江米や近江牛などの滋賀の食材を生かしたレシピの投稿を、公式に「滋賀県公式キッチン」として開始しました。
クックパッドと言えば、他のユーザーが投稿したレシピを元に料理を作って、「おいしくできました!」等の報告を写真とともに投稿するつくれぽというものがあります。
人気のレシピ等には、このつくれぽが一つのレシピに対して15,000件も投稿されています。
ではこの滋賀県が投稿したふなずしのレシピにつくれぽは何件投稿されているのか?
現在のところなんとゼロ件。。。
そりゃそうだろうなと思ったのですが、滋賀県以外の他の公式アカウントが投稿しているレシピにも、つくれぽは一件も付いていないので、もしかしたらクックパッドの仕様がそうなっているのかもですね。
ではどのようなレシピなのか、順番に調理工程を見ていきましょう。
用意する食材
本漬けの為に鮒を20~25尾。
- 塩切りしたニゴロブナ鮮魚換算で5kg
- ご飯3升5合の米を炊飯
- 酒1合
いきなりハードルが超高いですねw
塩切したニゴロ鮒なんて滋賀県以外で入手することはまず不可能なのかと思います。
ただ最近ではネットで塩切ブナを樽ごと販売しているので、ネット通販で入手すれば可能です。凄い時代になりました。塩切されたニゴロブナが樽に詰まった物を、スマホでポチっとすれば、日本全国どこへでも送られてくるんです。
用意する道具
通常のクックパッドのレシピでは、準備するものとしては「食材」のみですが、このふなずしレシピは食材以外に「用意する道具」というものが記載されています。これもまたハードルが高いですねw
- ブラシ:真ちゅうのワイヤーブラシ
- まな板:フナを洗うときの台に使う
- キッチンペーパー
- ざる/かご等:洗ったフナを入れる
- 洗濯物(靴下)干し
- 漬物用プラスチック桶(30号)
- ビニール袋2枚(桶用)
- 荷造り用ビニールロープ1.7m×9本
- 重石合計30kg
すごいですね。料理のレシピで用意するものに、洗濯物干し(靴下を干すやつ)とか、重石30kgとか。
はたしてこれらの食材と道具を用意できるクックパッドユーザーはどれくらいいるのでしょうか。ただ、それがふなずしづくりなんです。
ふなずし作りの工程
次にふなずしを漬けていく工程です。上述の準備する食材には「塩切したフナ」と記載されているのに、この工程には、塩切の過程から記載されています。ややこしくてわかりにくいですよね。
ふなずしの事を知らない人からすると、この塩切と本漬けが区別できなかったりごっちゃになったりするので、この辺は分かりやすくレシピにしてほしいところです。ではステップです。
- 塩切工程で鮒のうろこをとる
- 内臓や浮袋をとる
- 鮒に塩をぬりつける
- 樽にフナを入れて、重石をのせる
- 3か月漬け込む
- 塩切したフナを水洗いする
- お腹の中にある塩も取り除く
- 残っているうろこ等をとる
- ブラシで磨き上げる
- 鰓の裏のぬめりをとる
- キッチンぺーパーで水分をとる
- 洗濯物干しにぶら下げて日陰で翌日まで干す
- 樽の中にビニールを敷く
- 樽の底にごはんを敷く
- ごはんを詰めた鮒を樽につめていく。
- 鮒の上にごはんを敷き詰める
- 鮒とごはんを交互に重ねていく
- 最後にごはんをかぶせてビニール袋を閉じる
- 樽の内側周辺に太縄を置いて内蓋を乗せて重石を置く
- 1週間後に重石を追加
- 仕込みから1年後に完成
ざっくりとこのような21のステップで説明されていますが、いくつか気になった点を。
塩切と本漬けの工程がごっちゃになっていてわかりにくい
滋賀県人以外にふなずしを広めていくには、ここがすごく重要なんです。なのにわかりにくい。。
5までが塩切の工程で、6からが本漬けの工程ですね。あと塩切をする時期の説明がほしいところです。この説明だと、塩切をいつしてもよいように思ってしまいます。基本的には初春の3月頃ですね。
本漬け前の塩を洗い落した鮒の乾燥
12の洗濯物干しにぶら下げて風通しのよい日陰で干すと記載してますが、屋外に長時間干すと、夏の暑い季節はハエが鮒に卵を産み付けるので、できれば屋内で扇風機を使う等して干した方がよいです。
太縄って何?
19の工程でいきなり太縄を置く、と出てきますが、普通の人からしたら太縄って一体何?って感じですよね。そんなの用意するとも記載されていないし。この太縄ってのは、用意する材料のところに荷造り用ビニールロープ1.7m×9本とありますが、これを編み込んで太縄を作ります。
しかし、まず普通の人にはそういうこととは分かるはずがないし、そもそも太縄の作り方の説明がありません。
仕込みから1年かけて完成?
最後の21、仕込みから1年かけてやっと完成、と書いてますが、この1年というのが、塩切の時から1年なのか、本漬けから1年なのかの説明もありません。通常ならその年の年末年始ごろに樽から出して食すので、1年も漬けこまないですが、もし本漬けから1年というふうにユーザーが理解したら、夏に本漬けしたふなずしを翌年の夏に樽から出して食べることになります。なんかちょっと違うような。。
このように、細かなところを突っ込み出すと切りがないのですが、でもまあ一通りの手順は記載されていますね。
ただ、このレシピを投稿した滋賀県の職員自体が、ふなずしを漬けたことが無い人なのではないでしょうか。
ふなずしに限らず、他の通常のクックパッドのレシピもそうですが、作ったこともない人がそのレシピを投稿しても説得力ないですよね。
でもクックパッドにふなずしのレシピを投稿した滋賀県の職員さんには敬意を表したいです!
鮒ずしのレシピこそつくれぽが見たい!
この大量の塩切ブナや重石、桶、太縄、ワイヤーブラシ、洗濯物干し等の準備する物のハードルがやたら高くて、完成までに1年かかるというこのレシピは、200万件以上のレシピがあるクックパッドの中においても異才を放っているというか斬新さがすごいです。
そんなふなずしだからこそ、みんなのつくれぽが見たい!と思わざるをえません。うまくいったのか、そうでなかったのか。
でもふなずしは発酵料理なので、作る場所や環境、漬ける人が保有している菌等によって、仕上がりが異なってきて、様々な味や香りになるので、それをネットで表現して説明するのが難しいかもですね。
そんなふなずしのレシピがクックパッドに載っていることはすごく面白いし、滋賀県人以外の多くの人に、ふなずしづくりにトライしてもらいたいものです。
ふなずし作りのレポートは当サイトでも募集していますので、うまくつくれたよ!等の感想があればどんどんお寄せください!