解説

滋賀県民だからこそ理解できる!鮒寿司あるある

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究極の郷土料理故に、鮒寿司を食べた事も、見た事もない人からしたら全く理解できないかもしれませんが、滋賀県民なら誰も?が理解できる鮒ずしあるあるを纏めてみました。

物心ついたら鮒寿司を食べていた

私自身もいつから鮒寿司を食べ始めたのか記憶はありませんが、物心ついたら普通に食べていました。

小学生くらいの頃に食べていた記憶はありますが、実際はもっと小さい頃から食べていたのかと思います。

酒の肴としても最高な鮒寿司なので、どちらかというと大人が嗜好品として食べるイメージがありがちですが、滋賀県民は小学生でも小さい子でも普通に鮒寿司を食べていたと思います。

これは自宅で鮒寿司を漬けていたので、普通に普段の食卓に鮒寿司が出てきていたから、自然と食べるようになったのかと思います。

もしこれが中学生くらいになって初めて鮒寿司を見て、食べろ、と言われても、滋賀県人と言えど無理かと思います。

自家製鮒寿司しか食べた事がない

滋賀県民が食べている鮒寿司の大半は自家製鮒寿司です。

滋賀県民が完成した鮒寿司を購入して食べていることはまずほとんどないと思います。

昔は鮒の行商が県内の各地を回って、それを購入して塩切からやっていましたが、最近では塩切までされた塩切鮒を樽ごと購入して、本漬けから自宅でやったり、本漬けまでされた樽を購入して、自宅で発酵させて取り出して食べている家庭も多いかと思います。

なので、塩切鮒や本漬けされた樽ごとを購入する家庭は多いですが、完成した鮒寿司を購入している滋賀県民はほとんどいません。

購入して食べる鮒寿司には何故か緊張してしまう

滋賀県民は自家製鮒寿司しか食べた事がないので、逆に自家製以外の購入した鮒寿司を食べる時は何故か緊張してしまいます。

これは何にたとえればいいんでしょうか。例えば自宅の食卓に普通に味噌汁は出てきて、普通に毎日食べているけど、高級料亭であえて味噌汁なんかが出てきたら、かまえてしまいますよね。プロの料理人が作った味噌汁ってことで。

普段自宅で漬かって何気なく食べている鮒寿司が、プロの商品として出てきたら、どんな味なんだろう?って身構えてしまう滋賀県人は多いはずです。

滋賀県民でも、まったく鮒寿司を食べない家庭もある

これは他県の方からしたら以外かもしれませんが、鮒寿司は滋賀県民が全員食べているわけではありません。

最近では鮒寿司を漬ける事ができる人も減ってきているので、鮒寿司を食べた事のない滋賀県民もかなり増えてきていると思います。

もちろん滋賀県内には鮒寿司を製造販売しているお店はたくさんあるのですが、それらの鮒寿司を購入しているのはほとんどが県外の人であって、滋賀県人が鮒寿司を購入することはあまりないと思われます。

これは自宅で漬けている人は、そもそも買う必要がないのと、一方自宅で漬けていない家庭においては、わざわざ購入して食べようとまでするものではないからです。

風邪を引いた時や体力の落ちた時に鮒寿司は体に良いと聞かされてきた

昨今の健康ブームに伴い、発酵食品や乳酸菌が腸内環境に及ぼす特性等に注目されるようになりました。

しかし昔は健康等に関する情報が電波するネット環境等もなく、現在ほど健康ブームでもなかったので、そんなときに鮒寿司は体に良いよ!って言われても、いまいちピンときませんでした。

むしろこんなに酸っぱくて塩っ辛い物は、体に悪いんじゃないかとその時は思っていたのですが、鮒寿司を漬けてくれたおばあさんは、子供や孫に、体によいよ!と言って食べさせてくれました。

そう考えると、物心ついたら鮒寿司を食べるようになっていたというのは、このようにおばあさんが孫に食べさせたりしていたのが大きいかもしれませんね。

お正月やお盆等、親戚が集まる場には鮒寿司が出てくる

私が小さい頃は、お盆とお正月にはたくさんの親戚が集まっていました。

そしてそこには必ず鮒寿司が出てきました。

滋賀県生まれ滋賀県育ちの親戚の人達はみんな普通に鮒寿司を食べていましたが、滋賀県外の従妹等は、まったく鮒寿司を食べませんでした。

匂いがきついので、その従妹たちも、臭い!とは口にはしませんでしたが、心の中ではきっとそう思っていたのでしょう。

お祭り等の神事の場でも鮒寿司が出てくる

滋賀県にはその地域地域に色んなお祭りがあります。

神様にお供えする食べ物として鮒ずしが必ず出てきます。

鮒ずしは非常に神聖な物であり、鮒切り神事というお祭りもあるくらいです。

たいていその神事の場には、鮒寿司と滋賀の地酒が出てくるのですが、自宅で鮒寿司を漬けていない家庭は、まず鮒寿司を食べた事がないので、たとえ滋賀県人であっても、このような神事の場に鮒寿司が出てきても決して食べることはありませんでした。

大学等で他県の人と交流するようになると、グルメな友達等は鮒寿司を食べさせろと言ってくる

鮒寿司は、滋賀県民が思っている以上に、他県の人からしたら興味のある食べ物です。

特にグルメな人からすると、どうしても鮒寿司を食べてみたい!という人が意外と多く、私も大学で初めて滋賀県を出て他県の友達等ができたのですが、私が滋賀県人とわかると、グルメな友達等は必ず、鮒寿司を食べさせてくれ!と言ってきました。

それまではただの家庭料理程度に思っていた鮒寿司ですが、滋賀を出て初めて、その鮒寿司の特異性、希少性を知るのでした。

我が家の自家製鮒寿司は問題ないが、他の家の自家製鮒寿司は敬遠する人もいる

これはもしかしたら意見が分かれるところかもしれませんが、例えるなら、お母さんの握ったおにぎりしか食べられない、という感覚が理解できる人なら分かるかと思います。

鮒寿司が樽に漬けられて発酵している様を見ているだけに、我が家以外のよそのご家庭で漬けられた鮒寿司はちょっと、、、という人もいるかと思います。

これは逆に鮒寿司マニアこそ、こういう傾向が強いかもしれません。

つまりそれは、自家製鮒寿司が、お母さんが握ってくれたおにぎりと同等レベルにまで感覚として心に染み込んでいるという訳です。

ニゴロ鮒が高騰した時は、ゲンゴロウブナやハスを用いる

鮒寿司は琵琶湖に生息する固有種のニゴロブナを用いて漬けられます。

ただ年々漁獲量が減ってきて、ニゴロブナが獲れなくなってくると、他種のゲンゴロウブナや、他の魚種でもあるハスを漬けて食べたりもします。

ゲンゴロウブナはまだしも、ハスとなればそれはもはや鮒寿司とは呼びませんが、小さい頃はそれを鮒寿司と疑わずに食べていたものです。

漬物桶等の並びに鮒寿司を漬けた桶が並んでいる

小さい頃、友達の家に遊びに行ったりすると、たいていの家庭では自家製鮒寿司を漬けていたので、どこの家庭でも鮒寿司の漬け樽が漬物樽と一緒に並んでいました。

鮒寿司は発酵中にたびたび水を張り替えたりするので、水回りの近くに漬け樽が並んでいたと思います。そしてその樽等が保管されているあたりには、どこの家庭でもほのかな鮒寿司の匂いがしていたものです。

飯(いい)の部分は食べない

鮒寿司を食べた事のない人は「この白い部分は食べるの?」とよく聞いてこられます。

鮒寿司というくらいだから、この白い部分はご飯であって、食べる物だという理解だと思いますが、滋賀県民はこの飯(いい)を全て食べる事はありません。

むしろこの飯(いい)を全て食べようとしたら、漬け樽の中には大量にあるので、食べきることができません。

食卓に並ぶ時は、鮒寿司の身からこの白い飯(いい)の部分の大半はそぎ取られています。

最近ではこの飯(いい)だけを真空パックにして売っていたり、それを「鮒ずしディップ」と称して売られていたのを見て驚いたものです。

夕食に出た鮒寿司の残りは、ラップをかけて涼しいところに保管するが、翌日部屋が匂っている

鮒寿司はメインディッシュです。なので晩御飯の食卓に並びます。

晩御飯に鮒寿司を食べて、食べきれなかった鮒寿司はお皿にラップをして、冷蔵庫の中や涼しい場所に置いておいて、翌日にお茶漬けにしたりして食べたりします。

この時によくあるのが、翌日食卓に入ってくると、鮒寿司の匂いが部屋中に残っています。

食事中はそれ自体を食べているので、そこまで臭いとは思わないのですが、一晩寝室で寝て鼻がリセットされた状態で翌朝食卓にやってくると、滋賀県人でもやはり臭いです。朝から鮒寿司の匂いを嗅ぐわけです。

ごはんのおかずにできる

鮒寿司がご飯のおかずになると聞くと、え?寿司をおかずにごはんを食べるってどういうこと?マグロの握りずしをおかずにしてごはんを食べるようなもんでしょ?と思う人もいるかと思います。

もしくは滋賀県人以外の人で鮒寿司が好きな人はお酒に肴に鮒寿司を食べている人がほとんどなので、鮒寿司でごはんを食べるというのは、本当の意味での滋賀県人かもしれません。

鮒寿司をおかずに熱々のごはんを2杯。そのあと鮒寿司のお茶漬けを1杯。これが普通の滋賀県人の鮒寿司の食べ方というかお作法です。

鮒寿司の同胞募集!

滋賀県人以外には全く理解できないことばかりで、かなりマニアックな内容となってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?

逆にこれの全てが「分かるわー」という人は、鮒寿司検定1級です。

一緒に鮒寿司の普及に頑張っていきましょう!

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